いつでも本気で徐行運転。
この所、旬が過ぎたのか、苺が少し安い。
あまおう1パック¥450、とちおとめ1パック¥360・・・散々迷って買わずに来たんですが、売り場に漂う苺の甘い香りだけスハスハして来ました。
そんなお話。
あまおう1パック¥450、とちおとめ1パック¥360・・・散々迷って買わずに来たんですが、売り場に漂う苺の甘い香りだけスハスハして来ました。
そんなお話。
「・・・ちょっと、健二さん。恥ずかしいからヤメテ」
デパ地下の青果コーナー、艶やかに赤く輝く苺が並べられた一角は
甘い香りが漂っている。
そこで小鼻を膨らませて、ウットリとクンカクンカと幸せそうに香りを
堪能しているらしい健二に、佳主馬は勘弁してとばかりに袖を引いた。
奥様方や若い女性の占める割合の高いこういった場所は、中学生の
佳主馬には少々場違いな空間で、用がないなら早く離れたい。
「嗚呼、佳主馬君。もうちょっと・・・」
「そんなに欲しいなら、買えばいいじゃない」
そう言うと、健二はだってと眉を下げる。
「苺、好物なんだけどね。いつも、買っても食べきる前に悪くしちゃって、
勿体無いし」
小食な健二は食事を完食するのも毎回やっとで間食の習慣もない為、
デザートにまで腹が回らないらしい。かと言って一遍に食べるのは勿体
無くて、一日に2,3粒づつ抓んで楽しむも、食事ごと食べるのを忘れて
日が開く事もしばしばで、大概は最期の方は痛んで棄ててしまう。
名残惜しげに苺売り場を振り返る健二に、佳主馬はやれやれと溜息を吐く。
健二の手を取って徐に苺コーナーに引き返した。
「か、佳主馬君?」
「丁度今食べ頃なの・・・うんコレ美味しそう」
真っ赤に熟れた深紅の大粒苺のパックを両手に取った佳主馬に、健二は
声を上げる。
「あまおうだ!僕、食べた事無いや」
健二がキラキラと目を輝かせる。
「うん、僕も」
でも、やっぱり勿体無いからいいよと言う健二に構わず、会計する。
「え、ちょ・・・佳主馬君?」
ずいっと苺の入ったビニールを差出す。
「帰って、夕飯のデザートにしよう?」
2パックと言う事は、一人1パックノルマなのだろうか。流石、育ち盛りの中学男子。
タラリと内心冷や汗をかきつつも、間近から漂う甘い香りに、健二はゴクリと唾を
飲み込んだ。
「うん・・・頑張って食べるよ」
そう言うと、佳主馬は苦笑して無理に食べなくても良いと言う。
怪訝な顔をする健二に、佳主馬はクスリと笑みを浮かべる。
「熟れたの選んだから、痛むの早いよ。一番美味しい所を今日食べて、
残りはジャムにしよう?」
健二さん、朝パンだったよね。そう言う佳主馬に仰天して、健二は声を上げた。
「ええ?!苺ジャムって自分で作れるの?!で、でも、ジャムって作るの大変
なんじゃ・・・?!」
佳主馬は肩を竦める。
「そりゃ鍋でコトコト煮たら時間も手間もかかるけど、レンジで簡単に出来るよ」
なんちゃってジャムだけどね。
「佳主馬君すごい・・・」
最近やっと自炊を始めた健二には、製菓やまして手作りジャムなど、もはや
未知の領域、神の領域だ。
「・・・別に。母さんが良く作るから、簡単だし憶えただけ」
ちょと照れくさそうに早口で言う佳主馬に、思わず尊敬の眼差しを向けてしまう。
「ジャムにしちゃえば日持ちするし、暫く楽しめるでしょ?」
もっとも、1パック半弱の量ならたいした量は出来ないが、小食の健二が数回で
食べ切るには丁度いいくらいだろう。
「佳主馬君の手作りジャムかぁ・・・」
感慨深げに呟く健二に、何言ってんのと腕を取って歩き出す。
「二人で一緒に作るんだよ」
だから早く帰ろ?
「!うんっ」
悪戯っぽく笑った佳主馬に、健二は勢い良く笑顔で頷く。
これから暫くは佳主馬と一緒に作った手作りジャムで朝食が食べれるのかと思うと、
健二の頬が緩んだ。
そうして夕食後。
二人で台所に立ち、いざジャム作り!と腕まくりした健二の横で、良い格好をすべく
健二に気付かれないよう、細かい分量や加熱時間をスマフォで聖美にコッソリ確認した
佳主馬だった。
おわり
苺に砂糖とレモン汁で、加熱時間は分量にもよりますが、6~10分位で
なんちゃって苺ジャムです(笑)
デパ地下の青果コーナー、艶やかに赤く輝く苺が並べられた一角は
甘い香りが漂っている。
そこで小鼻を膨らませて、ウットリとクンカクンカと幸せそうに香りを
堪能しているらしい健二に、佳主馬は勘弁してとばかりに袖を引いた。
奥様方や若い女性の占める割合の高いこういった場所は、中学生の
佳主馬には少々場違いな空間で、用がないなら早く離れたい。
「嗚呼、佳主馬君。もうちょっと・・・」
「そんなに欲しいなら、買えばいいじゃない」
そう言うと、健二はだってと眉を下げる。
「苺、好物なんだけどね。いつも、買っても食べきる前に悪くしちゃって、
勿体無いし」
小食な健二は食事を完食するのも毎回やっとで間食の習慣もない為、
デザートにまで腹が回らないらしい。かと言って一遍に食べるのは勿体
無くて、一日に2,3粒づつ抓んで楽しむも、食事ごと食べるのを忘れて
日が開く事もしばしばで、大概は最期の方は痛んで棄ててしまう。
名残惜しげに苺売り場を振り返る健二に、佳主馬はやれやれと溜息を吐く。
健二の手を取って徐に苺コーナーに引き返した。
「か、佳主馬君?」
「丁度今食べ頃なの・・・うんコレ美味しそう」
真っ赤に熟れた深紅の大粒苺のパックを両手に取った佳主馬に、健二は
声を上げる。
「あまおうだ!僕、食べた事無いや」
健二がキラキラと目を輝かせる。
「うん、僕も」
でも、やっぱり勿体無いからいいよと言う健二に構わず、会計する。
「え、ちょ・・・佳主馬君?」
ずいっと苺の入ったビニールを差出す。
「帰って、夕飯のデザートにしよう?」
2パックと言う事は、一人1パックノルマなのだろうか。流石、育ち盛りの中学男子。
タラリと内心冷や汗をかきつつも、間近から漂う甘い香りに、健二はゴクリと唾を
飲み込んだ。
「うん・・・頑張って食べるよ」
そう言うと、佳主馬は苦笑して無理に食べなくても良いと言う。
怪訝な顔をする健二に、佳主馬はクスリと笑みを浮かべる。
「熟れたの選んだから、痛むの早いよ。一番美味しい所を今日食べて、
残りはジャムにしよう?」
健二さん、朝パンだったよね。そう言う佳主馬に仰天して、健二は声を上げた。
「ええ?!苺ジャムって自分で作れるの?!で、でも、ジャムって作るの大変
なんじゃ・・・?!」
佳主馬は肩を竦める。
「そりゃ鍋でコトコト煮たら時間も手間もかかるけど、レンジで簡単に出来るよ」
なんちゃってジャムだけどね。
「佳主馬君すごい・・・」
最近やっと自炊を始めた健二には、製菓やまして手作りジャムなど、もはや
未知の領域、神の領域だ。
「・・・別に。母さんが良く作るから、簡単だし憶えただけ」
ちょと照れくさそうに早口で言う佳主馬に、思わず尊敬の眼差しを向けてしまう。
「ジャムにしちゃえば日持ちするし、暫く楽しめるでしょ?」
もっとも、1パック半弱の量ならたいした量は出来ないが、小食の健二が数回で
食べ切るには丁度いいくらいだろう。
「佳主馬君の手作りジャムかぁ・・・」
感慨深げに呟く健二に、何言ってんのと腕を取って歩き出す。
「二人で一緒に作るんだよ」
だから早く帰ろ?
「!うんっ」
悪戯っぽく笑った佳主馬に、健二は勢い良く笑顔で頷く。
これから暫くは佳主馬と一緒に作った手作りジャムで朝食が食べれるのかと思うと、
健二の頬が緩んだ。
そうして夕食後。
二人で台所に立ち、いざジャム作り!と腕まくりした健二の横で、良い格好をすべく
健二に気付かれないよう、細かい分量や加熱時間をスマフォで聖美にコッソリ確認した
佳主馬だった。
おわり
苺に砂糖とレモン汁で、加熱時間は分量にもよりますが、6~10分位で
なんちゃって苺ジャムです(笑)
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ついったもぴくしぶもしない無精者。
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