「健二さんてさ~。ヒョロッとして細っこい癖に、何処も彼処もすっげー柔らかくて、
超抱き心地良いんだよね~」
「はっ?!」
佳主馬が健二にくっついているのは何時もの事だし、健二も佳主馬からのスキン
シップが嫌な訳ではない、というか寧ろ嬉しいので、普段から触れ合っている事は
割と多い。
だが、どこかうっとりと上気した顔で、いきなり飛んでも無い科白を吐き出した佳主馬に、
健二は真っ赤になって固まった。
丁度手に持っていたA5程の紙が、思わず入った力にクシャリと潰れる。
「でもさ。普段から美味しい物たくさん食べさして上げてるのに、もっと肉付き良くなっても
良いと思うんだよね。俺的にはさ」
佳主馬が健二の腰に回した手をスルリと下に滑らせ、大きな掌で包み込んだ臀部を
ズボンの上からモニモニサスサスと揉み拉く。
「やっ!・・・ちょ、佳主馬君!!///」
健二が身を捩るが、体格の違う佳主馬の両手に囲われた態勢から逃げきれず、好き勝手に
アチコチ触られ放題だ。
「・・・健二お前、身長・体重、昔からあんま変わんねーよな?」
戯れ合う二人に我関せずとPCのモニタに目を向けたままだった佐久間が問いかければ、
健二はきょとんと首を傾げた。
「うん?多分」
「あれ、佐久間さん居たんだ」
「居ましたよ!最初から居りましたケド、何か?!」
健二を抱き込んだ佳主馬に空気扱いされるが、ここは佐久間の部屋である。
「つーかさ、健二が柔らかくてもブニブニしてても、俺的にはどーでも良いけどさ」
「えー。こんなに気持ちイイのに」
「~~~か、佳主馬君・・・ソコやめてぇ・・・」
佳主馬が健二の内腿を撫で撫でする。健二は最早息も絶え絶えだ。
そんなピンクな空気(恐ろしい事にあの二人は無自覚だ)にげんなりとしながら、
佐久間はモニタから顔を上げて佳主馬の方を振り返る。
「・・・だから。それって、筋肉落ちて体脂肪が増えただけなんじゃねーの?」
―――ピキッ。
その場の空気が凍った。
「・・・いや、うん。別にね。キングが良いなら良いんだけどさ」
健二は根っからのインドア派。佳主馬のゴージャスな絶品手料理を毎日食べ続け、
運動もせずにいて筋力なんて付く筈が無い。むしろ衰える一方だろう。身長だって成長
期なんぞとっくの昔に終っているのだ。なのに体重が変わらないとなれば、失った
筋肉のかわりに脂肪がこってり乗っていると言う事に他ならない。
「・・・健二さん。ソレ見せて」
佳主馬が健二の手の中でぐしゃぐしゃになった紙片を指さした。
ギクリと健二の体が強張る。
「え、べべべべべ別にそんなワザワザ見る程の物じゃ・・・」
ヘラリと笑みを浮かべてお茶を濁そうとする健二に、佳主馬が静かに繰り返す。
「見せて」
「・・・・・・ハイ・・・」
健二がおずおずと差出したのは、大学で行われた健康診断の結果だった。
佐久間も佳主馬と一緒にその紙片を覗き込む。
「・・・・・・ガチで?」
「・・・・・・嘘でしょ?」
「・・・・・・アハハハハ」
翌日、佳主馬が購入して来た体脂肪計に乗せられた健二は、それから暫くの間
佳主馬のスペシャルダイエットメニューを克服される事を要求され、一緒に食事を
取っている佐久間も巻き込まれた。
「ちょっとキング!俺は普通に食っていいだろ?!」
「健二さんの目の前でトンカツだの何だの食べる気?」
「うわーん!!健二のバカァ!!」
「僕だって佳主馬君のタンシチュー食べたいんだよ!嫌なら外食でもして来なよ!!」
「アホ―!下手なレストランよりキングのダイエットメニューのが美味いんだよ!!」
「なら文句言わないでよ。ハイ今日は豆腐ハンバーグ。蓮根混ぜてるから食感いいよ」
「俺は、ガッツリゴッテリ肉塊が食いたいの!!」
だって男の子だもん。涙が出ちゃう。
そう言って涙でテーブルを濡らす佐久間だった。
おわり
健二の体脂肪が何%だったかは内緒。
・・・・・・体重が然程去年と変わらないのに、体脂肪だけが天井を突き破る勢いで
増えたのは私です・・・(嗚咽)
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ついったもぴくしぶもしない無精者。