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いつでも本気で徐行運転。

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と言う訳で、扇風機を出しました。
クーラーも有るけど、やっぱ扇風機。
上田もメインは扇風機だよね?という小ネタ。
・・・潜るって言った癖にこんなもん書いてないで、原稿やれや自分・・・。


天井近くの細長い明かり取りの窓は嵌め殺しになっていて、薄暗い納戸の中は扉を閉め切ってしまえば何処となく湿気臭く、古い紙と木の匂いがする。
空気は深い淵のように留まってそよとも動かない・・・のだが、ノートパソコンに向かう佳主馬の汗で湿った黒髪は、時折サワリと揺れ動く。
先程から軽く猫背で肘から先以外はほぼ不動の姿勢でOMCに集中していた佳主馬は、タンとエンターキーを押すと「ふぅ」と軽く息を吐いた。
13歳のまだまだ華奢な身体を伸ばし、その時になって初めて自分の髪やタンクトップの裾を揺らす風に気付いた。
「・・・?」
振り返れば、入口付近に置かれた旧式の扇風機が弱のメモリに合わされた風を送っている。日陰の廊下の空気は陽の指す縁側と比べれば、幾らかややひんやりとしていた。
そのすぐ傍の床の上で、健二が転がって眠っている。
扇風機の首は佳主馬に対して固定されており、眠る健二の首筋に汗が伝っているのを見て、佳主馬は苦笑を洩らす。
納戸には無かった扇風機は健二が持込んだのだろう。
集中する佳主馬の為にそっと弱く風が当たるよう固定して、傍らでキングカズマを操る様を目を輝かして見ている内にうたた寝してしまった・・・という所か。
「暑いんだから、扇風機の首を振るようにすれば良かったのに」
自分の事など頓着せず佳主馬の為にしてくれたのだろうが、室内でも熱中症にはなるのだ。
汗の伝う首筋に指先を当てれば、健二の体が少し熱いような気がする。佳主馬は汗の伝う肌を指先で拭い、そのまま
ペロリと指先を舐めた。
「・・・健二さんの味がする・・・」
健二が起きていたら確実に変態と悲鳴を上げられるな、と頭の隅で考えながら、佳主馬はゆっくりと腰を上げる。
扇風機の風向きを健二に向け、風が当り過ぎないようロックを外して首振り設定にすると、自分と健二の分の冷たい麦茶を取りに、静かに納戸を後にした。

ぺたぺたと佳主馬の足音が遠ざかってから、眠っていた筈の健二は真っ赤な顔を両手で覆って体を丸めた。
「な、ななななななな、な舐めた・・・ってか、味って・・味って・・・・・・・」
か、佳主馬君の変態ぃ~~~。
ぷしゅーーと湯気を上げる健二を、旧式の扇風機が送る風が宥めるようにソヨソヨと風を送った。

おわり



あ、そう言えばプリンタ買いました。
これで夏の新刊も安心。←安心する前に原稿やれ。

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